映画『失われた週末』の主人公に共感したら要注意!あらすじと感想

僕の大好きな映画監督ビリー・ワイルダーが1945年に放った問題作『失われた週末』

アカデミー賞も受賞しています。

タイトルからして気になる映画ですが、内容はアルコール依存(かなり重症)の主人公が酒におぼれる週末を描く作品となっております。

この映画、普通に面白いのですがそれと共に、お酒と健全な付き合いができているかを確認できる映画でもあると思います。

主人公を見て、「なんて愚かなんだ」と思えれば大丈夫。「その気持ち、なんかわかるかも」と思ってしまえば、あなたもアルコール依存症の可能性大です。

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『失われた週末』あらすじ

アルコール依存症の作家・ドンは、アルコールから身を遠ざけるため兄の提案で、一緒に週末を田舎で過ごすことになっていた。

しかし、何としてもお酒を飲みたいドンは兄や恋人に嘘をつき、1人で町に残ることに成功。監視の目がなくなったドンは早速お酒に手を出し、悲惨な週末が始まるが・・・

感想

これ、アルコール依存の人が見ると、本気で他人事には思えずに震えますね・・・

かくいう僕も、最近までアルコール依存に片足をつっこんでましたから。

冒頭シーンから共感してしまった僕・・・

まず冒頭のシーン。身支度をしながらドンはそわそわしています。どうやら窓の方をしきりに気にしている様子。

それもそのはず。窓の外には兄達にバレないように、紐をくくりつけたお酒のビンがぶら下がっているからです。

ここ、アルコール依存と関係のない方には「そこまでするか?」と笑えるシーンなのですが、僕は「そこまでする気持ちわかるわ~」って思ってしまいました(汗)

見つかったら没収されてお酒が飲めなくなるのが嫌で、もう隠すしかない。早く1人になって誰にもとやかく言われずお酒を飲んで良い気分になりたい。

どうでしょう?あなたは共感しますか?大丈夫でしょうか?

他にも、オペラの舞台を見ながらも、役者達が劇中で乾杯するお酒にしか意識が行かず、我慢できずに席を立つシーンもあります。

僕も、以前は見ているドラマや映画の登場人物がお酒を飲んでいるとどうしても飲みたくなって飲んだりしていました。だからドンの気持ちがわかります。

シラフの時は自信なさげなのに飲みだすと自信満々に語りだしたり、「一杯だけ」と言いながらもちろん一杯では終わらないなど、身に覚えのあることがたくさん(笑)

ドンはさらに、飲んだくれの自分に嫌気がさして自殺するため拳銃を買うも、その拳銃すらお酒代に変わるという依存っぷりです。

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音楽にも注目してみてください

この映画では、「テルミン」という珍しい楽器をつかった音楽が流れます。

火の玉がゆらゆら揺れている時に使われる音みたいな、不安定で高くか細い音なのですが、これがまた映画にぴったり。

この音は、酔いが回って脳が「ふわふわ~」っとした様子を表現しているようなのですが、不気味な雰囲気にもなって盛り上がります。

主人公のドンが作家として生きていくことへの絶望からアルコール依存になった経緯を語るシーンでも、この楽器の音楽が流れていました。

その時のテルミンの音はまるで、人の弱みにつけこむ悪魔(お酒)の声のようにも聞こえます。

テルミンはこの映画で使われたのをきっかけに、映画音楽に使われるようになったんだとか。

ドンがアルコール依存だという事実を知った恋人は言います。

「私の恋敵はこれ(お酒)ね。私は戦い続けるわよ」と。

そうなんですよね。アルコール依存の人って意志が弱いからなってしまうのではないんです。お酒が人の弱みにつけこんで依存させるんです。

詳しくはこちらの記事で書いています(ドンに微塵でも共感してしまった方は必読です!)

効果絶大!『禁酒セラピー』でお酒への依存心が一気に冷めた話

2018年9月16日

そしてラストの後味は決して悪くないので、気になる方はぜひご鑑賞ください。

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