『あなたの旅立ち、綴ります』失敗こそがあなたを作る(あらすじ感想)

久しぶりに、素敵なセリフ目白押しな作品に出会えました。

男より男らしいおばあちゃんのぶっとんだ終活を描く映画『あなたの旅立ち、綴ります』(原題:The Last Word)

ハリエットのセリフに背中押される人、多いんじゃないでしょうか。

予告動画の時点でグッとくること言ってます。

「良い一日ではなく、本物の1日(自分に正直な1日)を生きて」ってセリフ、素敵です。

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『あなたの旅立ち、綴ります』あらすじ

ビジネスで成功を収め、隠居生活をしていたハリエット・ローラー(シャーリー・マクレーン)は、死後に新聞にのるであろう自分の死亡記事をも理想の形にすべく、若い記者・シャーマン(アマンダ・サイフリッド)を訪ねる。

仕事を請け負ったシャーマンが、ハリエットの夫や元同僚に話を聞くも、誰もがハリエットを悪く言うため、理想的な記事を書くことが出来ない。

納得のいかないハリエットは、自身の死亡記事を良くするため、社会的に良いとされる行いを始めるが・・・

『あなたの旅立ち、綴ります』感想(名言も紹介)

何でもかんでも自分で決めないと気がすまないハリエット。

冒頭から「めんどくさいおばあさん」な振る舞いで鑑賞者を圧倒させます。

ふと目にした新聞に載っていた他人の死亡記事をきっかけに、自分の死亡記事を生きている間に完成させようとする圧倒的な行動力には恐れいりました(笑)

ハリエットが理想とする死亡記事は、

①家族に愛されていたこと
②同僚に尊敬されていたこと
③思いがけず、誰かの人生を変えたこと
④読者の興味をそそるフレーズを入れること

の4つの条件が必要なのですが、周りの人間にハリエットがどんな人間か取材をするも、誰一人彼女を良く言う人がいない。

良く言われないどころか、

「彼女のことを忘れたくてセラピーに通っています」

「彼女が死ぬのは良いことだわ」

「人間の形をした黒い雲」

とまで言われる始末。

ハリエットは納得いかず、良い死亡記事になるネタを作るため行動を開始するわけですが、最初は記者のシャーマンも「めんどくせーくそばばあ、くたばれ」と悪態づきます。

その正直な反応で、ハリエットはシャーマンを気に入っちゃうのが面白いです。

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半ば強引にシャーマンを巻き込むわけですが、一緒に行動するにつれ、シャーマンもハリエットに興味を持ち始め、

「何事も自分で決めないと気がすまない頑固者」だと思っていた彼女の姿は、「自分に正直に生きる芯のある女性」に印象が変わってきます。

シャーマンが、実は死亡記事よりエッセイを書きたいという願望を持っていることを知ったハリエットが、本当にやりたいことをやるべきだとシャーマンを諭すシーンが最高にグッときます。

「失敗するのが怖い」というシャーマンに対し、

失敗こそがあなたを作るの。失敗があなたを賢くし、強くし、自立した人間にするのよ

それに対し、「私はあなたのように恐れ知らずじゃない」と弱気なシャーマン。

それでもハリエットはあきらめない。

「娘には言えなかったことを言ってもいい?

倒れなさい。思いっきり失敗するのよ。失敗すれば学べるわ。失敗すれば生きられる

あなたの人生は、まだ始まってもいない」と。

ハリエットの人生の先輩感が素敵なんですよ。

男社会で男を押しのけながら這い上がり、成功を収めた社会人女性ハリエットからの、可愛い後輩への愛がつまっています。

やりたいことがあるのなら、リスクを冒して冒険しなさいと。自分の可能性に自分でふたをしてはいけないと。

やりたいことがあるけど踏み出せない。そんな人に激おしな作品です。

中盤の、「自信のなさが野心をダメにする」ってセリフもかっこよくてしびれました。

他にも、素敵なシーンがたくさんあるので、ぜひ鑑賞して、お気に入りのシーンを見つけてみて下さい。

自分はどんな訃報記事を書かれたいだろうか

ハリエットは、理想的な訃報記事を書かせるため自分の人生と向き合うこととなり、恐らく最高に幸せな死に方をしたのだと思う。

「死」というものを意識することで、「生」が輝くということを、決して悲観することなく思わせてくれた作品です。

心臓の疾患を言い渡され、いつ亡くなってもおかしくはないハリエットに「死を待つだけなんて、もどかしい」というシャーマンに対し言った、

「みんなそうでしょ」とのハリエットのセリフに、いつまでも生きている気でいた僕はハッとさせられました。

遅いか早いかの違いで、今のところ「100%の人間に死は訪れる」という、当たり前なようでつい忘れがちになってしまう大切な事実。

ちゃんと自分の可能性を出し切れているだろうか。

大切な人と、ちゃんと向き合えているだろうか。

「出会えてよかった」

一人でもいい、心からそう言ってもらえるような人生を歩みたい。

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