小説『カラフル』人生は少し長めのホームステイ、気楽に生きよう(あらすじ感想)

昔から名前だけ知っていて読んでいなかった小説『カラフル』

気まぐれで読んでみたら、めっちゃ素敵な話でした。

最後の方で天使(?)のプラプラが生きることに怖がる真に言った、「せいぜい数十年の人生です。少し長めホームステイだと気楽に考えればいい」というセリフに、心がとても軽くなりました。

「生きるのに疲れた」なんて人がいたら、真っ先にこの小説をおすすめしたい。

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小説『カラフル』あらすじ

「おめでとうございます、抽選にあたりました!」

死んだはずの「ぼく」の魂の前に突如あらわれた天使・プラプラ。

前世で大きな過ちをおかした「ぼく」だったが、抽選にあたったことで現世でやりなおす挑戦権を与えられ、真(まこと)という少年の体にホームステイすることになる。

真(まこと)として始まった生活。やがて「ぼく」は前世で犯した自分の罪を知ることとなる・・・

小説『カラフル』感想

(以下、物語の核心部分も書くので、これから読むかたでラストの展開を知りたくない方は注意してください)

 

「前世で大きな過ちを犯したことで輪廻転生サイクルからはじかれる(もう生まれかわることが出来なくなる)運命にあった「ぼく」に、現世をやり直すチャンスが与えられる」

ちょっとしんみりしそうな設定ですが、「ぼく」のガイドとなった天使・プラプラの陽気なキャラで良い具合に軽く読み勧めることが出来ます。

「ぼく」の魂がホームステイする体の持ち主である真は、不倫する母や人の不幸を喜ぶ父親・援助交際する憧れの女の子の実態に絶望し自殺した14歳の少年でした。

真に共感しつつも、「ぼく」にとっては他人事なので、家族や同級生にも言いたいことを真の代わりにずばずば言います。

怖いものなしに周りの人間とぶつかることで、家族の本音を知ることとなり、真は家族から愛されていた存在だったことを知りわだかまりが解け、家族との関係は良くなります。

で、「ぼく」が前世で犯した過ちは、「自分を殺したこと」つまり、自殺

「ぼく」は真自身の魂だったわけです。

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人生は「他人事」ぐらいでちょうどいいのかもしれない

「ぼく」にとって真は他人だと思っていたから、「ぼく」は自由に振舞えました。

言い意味で自分を大事にし過ぎないと言いますか、「ぼく」なりに真の人生をマシにしようと髪型を変えたり値段の高いスニーカーを買って自信をつけたりと、軽く行動する事ができるんですよね。

他人事だから周りの人からの評価みたいなものにも無関心で、自由気ままに過ごすことも出来ます。

言いたいことは言うし、家族との衝突も恐れません。

そしてそのことで、真の人生は言い方向に向かっていき家族への誤解も解け、関係も良くなります。

ところが「ぼく」=真であることを知ると、「ぼく」はとたんに生きることに自信をなくすんですね。

自分のこととなると怖い」って。

自殺する前の真はその怖さゆえに自分の殻に閉じこもって、本当のことを知らずに自殺してしまったわけです。

自殺まで行かなくても、多かれ少なかれ誰にでも起こりうることなんじゃないかと思います。

周りと衝突することは怖い、自分を変えるのも怖い、だから自分の色眼鏡で世界を見て勝手に絶望してしまう、本当の世界は違うかもしれないのに。

だから『カラフル』を読んで僕は思いました。

人生、少し他人事ぐらいの気持ちで生きた方が上手くいくのだと。

「死ぬこと以外、かすり傷」なんて有名な言葉があるとおり、命の危険がなければ失敗したってどうってことないんですよね。

失敗を恐れて自分の殻に閉じこもるのは自分を大切にしているようで、実は自分の可能性をつぶしてしまう行為で、結局自分をダメにしてしまうのかもしれません。

プラプラの言うとおり、「せいぜい数十年の人生です。少し長めホームステイだと気楽に考えればいい」のだと思います。

ぼく達は、体という乗り物に乗って地球という観光地に遊びに来ているようなもの。

小説『カラフル』は、肩の力を抜いてくれる素敵なお話でした。また読み返したい作品のひとつです。

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