ずっと気になっていたけど、今まで見れなかった映画『ボーイズ・ドント・クライ』
自分と同じ苦しみを持つ主人公が最悪のバッドエンドを迎える映画、しかも実話。
しばらく落ち込むことを覚悟してやっと鑑賞。
うぅ・・・分かってはいたけど、凄まじく辛い映画でした。
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映画『ボーイズ・ドント・クライ』あらすじ(実話)
女性でありながら自分を男だと主張するブランドンは、ゲイの従兄弟の家に居候している。
20歳になるブランドンは、胸にさらしを巻き下着に詰め物を入れ、男の格好をして町に出かける。
そんな中、田舎街であるフォールズ・シティで出来た仲間内の一人の女性ラナに恋をする。
2人の時間を過ごすうち、ラナもブランドンに惹かれていく。ラナを溺愛していたジョンも、2人の恋を悔しながらにも祝福する。
全てが上手くいっていると思っていた矢先、ブランドンが女性であることが仲間内にバレてしまい周りのブランドンへの態度が一変してしまう・・・
感想(ネタバレ含む)
まず、性同一性障害のブランドンを演じたヒラリー・スワンクって女優さんすごいですね。
体は女性・心は男性の状態を演じるのってほんと難しいと思うんですよ。男になり切ろうとしても、仕草や口調にどうしても女が出てしまいがちです。
ところがヒラリースワンクはちゃんと男に見えましたね。声は高く体は華奢ですが、表情や内面から滲み出てくる雰囲気が男でした。アカデミー主演女優賞受賞、納得の演技です。
演技が素晴らしいので、当事者の僕はかなり感情移入してしまいました。そしてその分見るのが辛かったです。
仲間の男2人に犯され殺されるというラストも心えぐられるのですが、僕個人としてはラナの目の前でブランドンが男2人に下着を脱がされるシーンは、もう叫びたくなるほどえぐられました。
ブランドンは性転換手術していないですから、体は当然女性です。でも男としてラナに恋している。
男として1番見られたくないものを、1番見られたくない相手に最悪のシチュエーションで見られてしまう屈辱。
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ブランドンの危なっかしさに終始ハラハラ
もちろん、ブランドンは何も悪くないです。「変態」「化け物」なんて言われる筋合いはないし、犯されたりましてや殺される理由なんてない。
それでも、ブラントがその場その場をごまかしてやり過ごす様子に危なっかしさしか感じられませんでした。
頑張って男として溶け込もうとしているけど、女性だといつバレてもおかしくないような感じでしたから。
今の日本のように、カミングアウトしてもあまり偏見のない土地だったらまだいいんですが、ブラントンのいる町は「同性愛は殺される」ような危険地帯。
僕だったらそんな土地怖くて近づけない(汗)
恋に落ちた相手にまっすぐに思いをぶるけるのは素敵。でも相手がちょいと悪かった。ラナは、ジョンというやばい奴が溺愛する女性。
前科持ちでキレたら手をつけられないジョン。幼い子どもにビールを飲ませようとしたり、スピード違反で捕まったのを仲間の責任にしたりとどう考えても関わったらやばい奴。
ブランドンも分かっていたはず。「自分の素性がばれたら何をされるか分からない」って。
恋した相手と両思いになれて舞い上がり、現実が見えていないようでハラハラします。
「ブランドン!女性は世界にラナだけじゃないよ!ラナはやめときなって!」とロマンスぶち壊しな事を思わずにはいられませんでした。
ブラントンが女性だとばれた瞬間、手のひらを返したような周りの態度が1番怖かったです。あれは人間を見る目じゃない、まさしく「化け物」扱い。
理解できないものを恐れ、排除しようとする人間の怖さが画面から伝わってきました。ホラー映画より怖い。
ただ、ラナと両思いになって「ラナにプロポーズする」と言うブランドンに対し、従兄弟は「性転換もまだなのに?」と答えますがそれには僕も同意見。
もちろん性同一性障害だからって、治療をするもしないも本人の自由です。が、ブランドンの場合は、自分の体と向き合う事から逃げているように見えてしまいました。
でもブランドンは20歳。若いからしょうがないのかな・・・
僕は臆病と言われるほど慎重に事を進める性格なせいもあって、即行動なブランドンを危なっかしいと思ってしまうんでしょうね。
その後のラナ。これが現実
「2人で今すぐこの町を出よう」とまで惹かれあった2人。
ブランドンが殺された後、2人で行こうと夢見ていた町へラナが1人車を走らせるシーンで終わりました。
エンドロールでは、ラナはその後(3年後ぐらいだったかな?)結婚し子どもがいるとか。
切り替え早いな、と思ってしまった・・・
「ブランドンを思い今も1人」なんて展開はそれこそ映画だけですよね。
まとめ
1人勝手にもやもやしてしまいましたが、これはぜひ見ておくべき一本です。
性同一性障害だけでなく、自分で気づかないうちに少数派の人たちに偏見を持ってしまっているかもしれない。そんなことに気づかせてくれる映画でした。
これからもっともっと、人と違うことに対して寛容的で多様性を認める世界になってほしいと切に願います。
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