映画『ナイトクローラー』これぞゲスの極み(ネタバレ感想)

『ナイトクローラー』(原題:Nightcrawler)鑑賞。

「他人の不幸は蜜の味」ということわざを、そのまま映画にしたような話。

主人公がサイコパスなゲス野郎なのは確かですが、そのゲス野郎を生み出した社会の闇の方が僕は怖かったです。

だって主人公は、自分が認められるためとは言え、社会が求めるものをひたすら追っていただけですから・・・

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映画『ナイトクローラー』あらすじ

仕事にありつけずお金に困っていたルイス(ジェイク・ギレンホール)は、ある夜、事故現場に遭遇する。

そこで事故や事件などの過激な映像を撮ってはテレビ局に売るナイトクルーラーと呼ばれるパパラッチの存在を知ったルイスは、自身もナイトクルーラーになることを決意。

さっそくビデオカメラと無線傍受機を手に入れ、警察無線を傍受しては事件現場や事故現場へ車を走らせる。

過激な映像を撮ることに成功し、テレビ局の人間に一目置かれるようになったルイス。

テレビ局の要望にこたえるため、何より自分の承認欲求を満たすため、さらなる過激な映像を求め常軌を逸する計画を立て始める。

『ナイトクルーラー』感想(ネタバレ含む)

事故や事件の現場、つまり人の不幸が起こった現場の映像がテレビ局に高く売れると知ったルイスは、ひたすら人の不幸を追います。

人が血を流していようが、強盗に襲われ死んでいようが、これぞチャンスとなめるようにカメラを回し、静かに興奮しているルイスの様子にゾッとさせられます。

目をギョッとさせながら事件現場へと一心不乱に車をかっとばす姿は狂気でしかないです。

カメラのアングルにこだわって犠牲者の体を移動させたり、強盗事件の犯人をしっかり撮影しておきながら、新たな事件を撮るため警察に知らせることなく犯人を泳がせたりと、完全にサイコパス。

自分の言う事を聞かなくなった部下を強盗に発砲されるように仕向け、その状況にさえもカメラを向けるゲスっぷりには恐れ入りました。

僕はてっきり、最後はルイスが事故を起こすか事件に巻き込まれるかして、痛い目に合って終わるんだろうなと思っていました。そう終わって欲しいとすら思いました。

そんな僕の期待は裏切られ、最後は部下を何人も率いたナイトクローラー集団のトップとして、部下を鼓舞しているシーンで完結。

何とも言えない絶望感。

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ルイスが血も涙も無いゲス野郎なのは確かですが、そのゲス野郎を成功させたのはこの社会そのもの。

だって、人の不幸を写さないと人はテレビを見てくれないから。見てもらうためには過激な映像を写すしかないから。だから人の不幸を撮った映像が求められる。

もし、人の幸せな映像で視聴率が取れるなら、テレビ局だって過激な映像をパパラッチから高額で買ったりはしないわけで。

テレビ局に高額で売れる映像=世の中の人が見たい映像と言っても過言ではありません。

となると、「人が苦しむ悲惨な映像は見たくない」と世間が悲惨な事件のニュースを見ないようになれば、ルイスのような人間は人の不幸を追い求めなくなりますね。だって売れないから。

ぜひそんな社会になって欲しいですが、やっぱりそれは難しいのかな・・・

日本で暮らしていても、テレビで流れるのは暗いニュースばかり。

母親が子供を虐待死させただ、子供が自殺しただ、どこぞの有名人が脱税しただとそんなニュースが盛りだくさん。

最近だと、芸能人の不倫ですかね。マジでどうでもいい

でも、こんな辛気臭いニュースばかり流れるのは、そのほうが視聴率が上がるからなんですよね。

「なんてひどい事件なんでしょう」とか言いながら、見ている人が多いから(笑)

正直見なくても生きていけます。むしろ見ない方が楽しく生きていけます。

これはテレビ(特にニュース番組)を意識して見なくなった僕が実感していることです。

テレビ見るのをやめたら生活が一変!見ない方が幸せに生きれる理由

2017年12月7日

最後に

映画の感想を書いているうちに映画の内容そっちのけになってしましましたが、ルイス演じるジェイク・ギレンホールの狂気をかもし出す演技は引き込まれますし、強盗団や警察に混じってのカーチェイスは疾走感・緊張感があって面白いです。

悪が成敗されるようなすっきりとしたラストではありませんが、これはこれで振り切れていてインパクトのある結末です。

でも、一回見れば十分な作品です。

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