「パティシエになるために、製菓専門学校でお菓子作りを学びたい」
そう思っているあなた!ちょっと待ってください。
断言します。その考えは正直、短絡すぎです。
結論から言うと、製菓専門学校に行かなくてもパティシエになれますし、専門学校に通う時間をケーキ屋で働くことに使ったほうが圧倒的に実力がつきます。
今回は、実際に製菓専門学校を卒業し、3年ほどパティシエとして働いた経験のある僕が、パティシエになるために製菓専門学校に行く意味は無いと断言する理由を語ります。
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そもそも、パティシエに向いていない可能性も・・・
パティシエになりたいと思う人って、だいたいが「お菓子作りが好きだから」という理由ででパティシエの仕事に興味を持つのではないでしょうか。
もちろん、お菓子作りが好きでないと勤まらない仕事です。
しかし、「お菓子作りが好き=パティシエとしての適性がある」というわけではありません。
パティシエとして働き続けるためには、様々な力が求められます。
例えば、
・毎日同じクオリティのお菓子を作る能力(&そのための忍耐力・緊張感の維持)
・長時間労働に耐えうる体力、気力
・他のパティシエと連携を取るためのコミュニケーション能力
といった能力は必須です。
僕が実際にパティシエとして働き出して1番思ったのが、コミュニケーション能力が大事だと言う事。
パティシエは職人だから、黙々とお菓子を作れば良いと思っていました。
ですが、そうでは無かった。
周りのパティシエと密な連携を取って動かなければ、効率的に仕事が出来ないんです。
例えばオーブン。
オーブンの数は限られていて、自分が使いたいタイミングでオーブンが空いている必要があります。
しかし、オーブンを使うのは自分だけではありません。一緒に働く他のパティシエも使います。
オーブンを使うタイミングが詰まって焼けない!なんて事態を避けるため、連携しなければなりません。
ただ自分の作業だけに集中すれば良いというものでなく、周りの状況も常に気にしながら声を掛け合うことが不可欠なんです。
そして、スムーズな連携を可能にするのは、日頃のコミュニケーション&信頼関係。
仕事を効率的にすすめるためにも、気持ち良く働くためにも、コミュニケーション能力は不可欠です。
他にも、町のケーキ屋で働く場合は、お客さんがたくさん来る時間帯、販売員の手が足りない時があります。
その場合、パティシエも厨房から出て、接客を手伝わなければならない事も多いです。
僕は接客がとても苦手で・・・かなり苦痛でした。
このように、「思っていた仕事と違った」ということがあります。
これはパティシエの仕事に限った話では無いですが、実際働いてみないとわからないものです。
専門学校に通っても、働き出してから「自分には向かない」となって辞めてしまうなら、それこそ専門学校に行く意味がありません。
むしろ、時間とお金の無駄使いになってしまいます。
なので、パティシエになりたいと思うのであれば、アルバイトでも何でもいいので働いてみることをおすすめします。
特にクリスマスを経験すると、パティシエの仕事の過酷さが体で分かります。マジで大変です。
以上、「専門学校に行くか行かないか」以前の問題です。
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パティシエになる覚悟が出来ているなら、今すぐ修行すべし!
自分にはパティシエとしての適性がある、もしくは、適性が無いとしてもパティシエとしてどうしても働きたいという場合。
専門学校に通う暇があれば、お金をもらって修行しましょう。
どう考えてもこれが効率的です。
専門学校を出なければ雇ってもらえないなんてこと、ありませんから。
むしろ今は、たいていのケーキ屋が人手不足(有名店除く)
健康でやる気があれば、雇ってくれる店はあるはずです。
もちろん最初は洗い場や材料のカットなどの雑用からですが、それは専門学校を出ても同じ。
実際の現場で緊張感を持って2年働くのと、部活気分で2年専門学校に行くのでは、付く実力が違うのは明白です。
製菓専門学校に通うことをすすめる人は、「専門学校で基礎知識をつけてから働いた方が良い」なんて言いますが、僕はそうは思いません。
お菓子作りの基礎知識は、本で十分得られます。
上に張ったのは、僕が通っていた専門学校の授業で使われた本です。
器具の名前や使い方、材料それぞれの性質、基本的な生地の作り方&上手く作るための科学的説明などが丁寧に書かれた良本です。
正直、2年も3年も専門学校の授業を受けるより、この一冊を読み込んだほうが身になります。
「そうは言っても、実際に作りながら教えてもらわなきゃ無理だろう」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、経験者の僕は断言します。
専門学校の授業で作ったぐらいじゃパティシエとしての実力はつきません
というのも、専門学校では30人ほどの生徒に対し、1人の講師(&実務経験の無い助手1人)で行われました。
学校によって違いはあると思いますが、大差はありません。
5~6人づつのグループで、その日の課題になった洋菓子を作ります。
最初に講師が作り方の見本をデモンストレーションします。
その後、講師と助手が見回る中、生徒達が課題の洋菓子を作ります。
作り方を一回見たぐらいじゃ、とても真似できません。
「こんな感じだったっけ?」ってなります。素人の集まりで作りますから、カオス状態。ドタバタです。
当然、講師1人と助手1人では、目が行き届きません。
何とかそれらしい物を作って終了。毎回そんな感じです。
これでお菓子作り、上達すると思います?
しかも毎回違うものを作ります。
僕ね、ケーキ屋で働き出して実感しました。毎日同じ物を作り続けるから上達するんだって。
毎日違うものを作っても、頭がこんがらがるだけ。(僕の頭の問題と言われてしまえばそれまでだけど)
ケーキ屋で毎日同じものを作ることで、ようやくお菓子作りのコツがわかりました。
ここだけの話、専門学校の先生より勤め先のシェフの方が教え方が上手でした(苦笑)
最後に
以上が、パティシエになるのに製菓専門学校に行く意味はない理由について、僕の経験を踏まえた意見です。
これを製菓専門学校の関係者が読んだら気を悪くするかもしれませんが、専門学校に行くか迷われている方に正直な思いを伝えたかったので、本音で書きました。
最後に1つ言っておきたいことがあります。
専門学校に行くかどうかの相談は、専門学校の説明会ではしないようにしてください。
相談したところで、「専門学校は出たほうが良い」って断言されるに決まってます。
だって向こうからしたら、あなたが学校に入学してくれたほうが授業料が入り、利益になるからです。
あなたが専門学校に入ることで得も損もしない人に相談しましょう。
この記事が参考になれば幸いです。
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