ドラマ『イグアナの娘』を現実的に考察してみた(&あらすじ感想)

気づくと、amazonプライムビデオで『イグアナの娘』が配信されていた!

1996年に放送されたこのドラマ。僕は当時8歳でしたが、かなり印象的なドラマで覚えてたんですっごく懐かしい。

30歳になって改めて見ると、見方が変わりますね。

今は亡き川島なお美が演じるお母さん。当時は子供心に「ただただ意地悪な人」のイメージでしたが、ドラマに隠されたテーマが分かると、その苦しみを想像して切なくなります。

醜形恐怖症による親子の確執を題材にした重いテーマだったんですね。それを「イグアナのお姫様が・・・」とファンタスティックに描いた本作品は、今見ても色あせない素敵なドラマです。

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『イグアナの娘』あらすじ

仲睦まじい夫婦の間に生まれたのは、イグアナの姿をした娘だった。

しかし、イグアナに見えるのは母親だけ。母親以外の人間には可愛い女の子にしか見えない。

「どうして私だけ娘がイグアナに見えるの?」

愛したくても、醜いイグアナの姿をした娘を愛することが出来ず母親は苦しむ。

月日がたち、再び女の子が生まれるが、2番目に生まれたその子は母親が見ても人間の女の子だった。

長女への愛情を補うかのように次女を溺愛する母親。

母親に拒絶され傷つきながらも母親を慕い成長する長女・リカ(菅野美穂)は、高校で親友と出会い前向きに生き始めるが、「イグアナが幸せになれるわけがない」と母親に執拗に否定され・・・

『イグアナの娘』感想

川島なお美の代表作と言っても過言ではない

当時の川島なお美の年齢は、35歳。

「女性の美貌は28・29あたりがピーク」なんて聞いたことがありますが、やっぱり嘘ですね、そんなん。

めっっっちゃ美しすぎるんですけど!

美しいにもほどがある。

菅野美穂ももちろん可愛いんですが、僕はどうしても川島なお美に目が行ってしまいました。

『イグアナの娘』の主役は川島なお美なんじゃないか?と思うほどの圧倒的存在感。

「パパにとってママは、おとぎ話に出てくるお姫様に見えるんだ」ってセリフを最終回で草刈さんが言うんですけど、激しく同感。

奇麗で色っぽくて、どことなく可愛らしい、セクシーとキュートが融合した無敵の美貌。

ドラマの中で物憂げにワインをたしなむ姿には、違う意味で切なくなりましたが・・・

54歳という若さで亡くなってしまったのは、ワインの飲みすぎが原因、なんてことも言われてましたからね。

ヒロインの親友役は、今をときめく佐藤仁美

ヒロイン・リカを支え、時には叱咤して成長を促す親友・伸子を演じたのは、佐藤仁美。

当時17歳ぐらいでしょうか、10代の少女ではありますが、すでに貫禄のようなものを醸し出してます(笑)

「友達がいれば乗り越えられる、たいての事は」ってセリフが素敵。

交通事故であっさり亡くなったシーンは泣けました。

あの頃は、まさか将来ライザップのCMで脚光を浴びるとは思ってなかっただろうな・・・笑

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『イグアナの娘』を現実的に考察

このドラマに隠されたテーマは、醜形恐怖症の親子の確執。

お母さんはガラパゴス諸島のイグアナのお姫様で、岩場に挟まって動けなくなっているところを助けてくれた獣医師に恋をし、魔法使いに頼んで人間にしてもらいました。

その時、「イグアナであることを気づかれてはいけないよ。もし気づかれてしまったら、その人は離れてしまうから」と言われます。

「わかったわ、絶対気づかれない。イグアナであったことも忘れて、人間として暮らすわ」と決意し、恋した獣医師と結婚。

幸せになれたと思ったのも束の間。生まれた娘はイグアナ。

かつてイグアナであったことをすっかり忘れているお母さんでしたが、潜在意識では覚えていて、「イグアナの娘=過去の自分」を拒絶するお母さんが描かれています。

これをファンタジー要素を抜いて、現実的に解釈してみます。

「自分は醜い」と思い込み自分を受け入れられないお母さんが、整形という魔法を使って容姿を変え、整形前の姿を知らない男性と結婚。

「以前の醜い姿を知られてしまえば自分の元を去ってしまう」と恐れるお母さんは、かつての自分の姿に似た娘を受け入れることが出来ない。

娘のせいで、かつて醜かったことがバレてしまうのではないかという恐怖。

また、自分に似て生まれてしまった娘は、醜い姿ゆえに幸せになれないのではないかと苦悩します。

そんな母親の苦悩を知ることなく、親友や昇君に支えられ、醜いと思っていた自分を受け入れ前向きに生きるようになっていくリカ。

「今は良くても、いつか娘の醜さに気づき絶望するはず」

「自分はこんなに苦しんで整形までして得た幸せを、あの醜い姿のまま得るなんて認めたくない」

そんな苦悩や葛藤で、最後まで娘の幸せを祝福することは出来ませんでした。

一方リカはラスト、お母さんの死に顔がイグアナに見えたことで、お母さんも自分を受け入れられず苦しんでいたことを知り「辛かったんだね」と労わりの涙を流します。

最後は昇君と昇君との間に出来た子供と幸せそうに笑うシーンで終わりました。

ヒロインが強くて優しいハートの持ち主だったからハッピーエンドですが、母親にあそこまで否定されたらグレると思います(汗)

ただ、「自分の中にある嫌いな性格や容姿」を持つ相手をみると拒絶してしまう心理って分かる気がします。

それこそ自分の嫌いな部分を鏡で見せられているように感じてしまうから。自分でも受け入れられない部分を見たくないから。

自分で自分を否定するのは一番の悲劇かもしれません。

リカはお母さん以外の人たちの支えで自分のありのまま(イグアナの姿)を受け入れることが出来、幸せになりました。

自分を受け入れ、前向きに変わったリカは言います。

「誰にだって幸せになる権利はある。でもそのためには自分で頑張らなくちゃ、現実から目をそらさないで。こんな簡単なことが、今までどうして分からなかったんだろう」

自分を幸せに出来るのは自分なんですよね。

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