実話を元にした無人島でのサバイバル小説『漂流』(吉村昭)
主人公達が嵐による漂流の末、命からがらたどり着いたのは、植物も育たないような死の島。
食べ物も飲み物も持たず、体も心も疲労困ぱい状態の彼らが、どのようにして生き延び、どのように自力で日本へ戻ってくることが出来たのか。
そして、生き残った者と命を落とした者、その生死をわけた分岐点はどこにあったのか。
読み物として最高に面白く、現代の日本の状態と重なって見えるところもあり、今を生き抜くのに必須の知恵も詰まっていました。
今回は、サバイバル小説『漂流』から学んだ、現代を生き抜く秘訣を記録しておこうと思います。
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とにかく動け!体を動かせ!日光を浴びろ!
命からがら島にたどりつき、喜んだのもつかの間。
上陸した島は、「海の上で餓死した方が幸せだったのかもしれない」とまで思ってしまう、死の島だったのです。
それでも知恵を絞り、食料や水を確保。とりあえず島で生きていくことは出来るようになります。
で、ここからが問題。
それまでは「何とかして飢え&のどの渇きを潤そう」と必死に島中を探索していたわけですが、食料と水が確保された瞬間、特にやることがなくなってしまいます。
あとは、たまたま通りがかった船に助けてもらうことを待つだけ。とはいえ、そんな気配は微塵もない。
目標も、希望もなく、ただ生きる毎日。
すると洞窟の中に1日中引きこもる人が出てきます。そんな日がしばらく続くと、体調が崩れ、亡くなっていく人間が多発。
毎日外を歩き回っていた主人公・長平は無事でした。
「謎の病」だと思っていた長平でしたが、ある時気づきます。
「体を動かさぬと、差しさわりが起こる。人間というのは、働かねばならなぬようにできているのだ」
「これで水も食い物の心配もなくなったが、体を動かす仕事を切れ目なしにしていないと、気持も体も衰える」
サバイバル生活の一番の死因は、「運動不足」
元々患っていた持病が悪化して亡くなる人もいるのですが、この小説を読むと、一日中寝転がっている人はほぼ確実に死にます。
そうやって亡くなった人が1番多い印象。いや、ほぼ運動不足で亡くなっていると思います。
絶望→何もやる気が起きない→引きこもる→体調崩す→さらにやる気が起きない
この負のループが続く事で、やがて体力も生きる気力も無くなり、体が衰えて亡くなる(もしくは自殺)という結果に。
これを体験として知った長平は、後から漂流してくる者たちにも、洞窟に引きこもらず外へ出て動き日光を浴びるよう促します。
それとともに、絶望という名の死神がとりつかないよう、「必ず母国へ帰れる」と自分に言い聞かせるように仲間を鼓舞します。
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現代人の死因も、突き詰めれば「運動不足」なのかもしれない
現代の日本て、栄養失調になることってまずないじゃないですか。
きれいな水も飲み放題だし、命の危険もない。
ただ、どこか先行き不透明な暗いベールに包まれている雰囲気があります。希望を見出せない人も多い。
「仕事で1日中屋内にこもってパソコンを前に座りっぱなし」だったり、「人生に希望を見出せず家に引きこもっている」人がいたり。
で、今って病気や自殺が多いじゃないですか?
これ、緊急度の違いはあれど、さきほど書いた「洞窟にこもって気力も体力もなくなっていく人」に似ているような気がします。
だから、「動くのもかったるい」と思う時こそ、体を動かさなければいけないのです。
(もちろん具合が悪い時は休むのが先決ですが)
試しに外を歩いてみて!気分が変わるから
これ、僕自身が最近体験したんですけど、どんなに気分が落ちてる時でも、外を歩くと間違いなく気分が良くなるんですよね。
というのも、1ヶ月ほど前に仕事をやめまして、引きこもりがちだったんです。
本を読んだり、DVDを見たりして過ごしてました。そうするとだんだん気持ちがネガティブに。
そこで、「歩くことが、精神安定剤より精神の安定に効果がある」ということを聞いたことがあったので、歩いてみたんです。
かなり腰は重かったけど、とにかく外に出てみようって。大好きな映画館めがけて、1時間くらい歩いたんです。
そしたら、すっごい気分が晴れました。感動です。
しかも、映画見終わった帰りに今まで見たことないようなきれいな虹を見ることができて、一気に希望がわいたんです。
虹が見れたのは完全に運が良かっただけですが、外を歩かなければ見れませんでしたからね。
もし、これを読んでいるあなたが、鬱々とした気分でいるのなら・・・
外を歩きましょう!!
虹が見れるかはわかりませんが、必ず気分がすっきりします。脳も活発に働いて、「何かやってみよう」ってやる気が出てきますよ。
小説『漂流』を読むのもおすすめです。生きる勇気、もらえるはずです。
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